ビジネス

株式会社の仕組みと労働基準法

◇会社には4つの形がある

会社には、4つの形態があります。

「株式会社」、「合同会社」、「合資会社」、「合名会社」です。

この4つの中でも大きく2つに分けることができ、株式会社と持分会社に分かれます。

株式会社とは、株式を発行することで資金を集める会社のことです。

株式を上場(公開市場で誰でも買えるようになり、広く資金を集めることができる)することでより資金調達がしやすくなります。

主に事業を大きく広げるのに向いています。

次に持分会社は株式会社以外の3つの形態を指し、社員を増やしたり規模を大きくしたりすることはあまり考えず家族や仲間内で続けて行くことを考えた会社形態と言えます。

◇所有と経営の一致

では株式会社と持分会社の2つの形態では主に何が違うのでしょうか?

最も大きな違いは所有と経営が一致しているかどうかです。

所有と経営の一致とは会社の持ち主と会社を経営する経営者が同じかどうかということ。

持分会社は出資者が経営を行う会社形態のため、会社の所有者と経営社が同じです。

一方、株式会社の持ち主は株主で、株式を購入している人はその会社の持ち主ということになります。

もちろん、株式の保有割合によって発言権は変わってきますし、経営者が多くの株式を所有していることも多いため、所有と経営が一致していることもあります。

ただ、日産のカルロスゴーン氏のように会社から雇われて経営を行う雇われ経営者もいます。

また、上場する場合は他社(者)から株式を買占められ(敵対的買収)、会社の経営権を奪われるリスクもあります。

それ以外にも、発言権の大きい株主(保有株式が多い株主)から会社の方針や運営・利益に関して意見されることもあります。

そこで、他社の買占めを回避するために、複数の協力会社同士で株式を互いに持ち合い、経営の安定化を図る「株式持ち合い」が行われる場合があります。

つまり、株式会社の経営陣は従業員を重視した経営をすることは少なく、株主や取引先、経営陣自身の利益(給与や配当)を意識した経営が行われることが多いということです。

さらに、経営陣は会社の株を保有している場合も多く、給与所得以上に株の配当や株価が意識されることがあります。

その理由は税金で、給与などの所得税にかかる税率は最大45%ですが、株の配当や売却益に対しての税率は20.315%と低いためです。

そのため、株から得られる経営陣自身の利益とその他の株主に対しての忖度等、株式に関連した経営が行われやすくなるのです。

◇株式会社の組織構成

【株主総会】

株主総会は会社の所有者である株主に対し、会社の経営状況や今後の方針等の説明を行う集まりのことです。

基本的には定期で決算月の3か月後に行われることが多く、3月決算の多い日本では6月に開催されることが多いです。

また、その他にも会社の方針転換や説明が必要なタイミングで臨時で行われることもあります。

以前は株主に経営に対してうるさいことを言われないよう、総会屋という暴力団のような人たちを雇って総会に参加させることもありました。

逆に言えばそれほど株主に対しては重視しているということですね。

【取締役】

取締役とは、会社がどのように事業を進めていくのかなどを決める、業務執行の意思決定をする役職です。

いわば、会社の経営を行う役職です。

これに対し、株主は会社を所有している人で、経営には携わりません。(取締役自身が株式を保有している株主である場合も多いので、それ以外の株主という意味)

株主と取締役には、経営に携わるかどうかなどで明確な違いがあります。

また、株式会社では、必ず1人以上の取締役が必要です。

複数の取締役がいる場合は、その中から代表取締役(いわゆる社長)を選任します。

【監査役】

監査役とは、その名前の通り、取締役や会計参与の業務を監査する役職です。

取締役や会計参与に不正がないか、法令を遵守しているのかなどを監査します。

監査役の設置により、経営の健全性を高めることができます。

企業の監査役には、「社内監査役」と「社外監査役」があり、それぞれが「常勤監査役」と「非常勤監査役」に分かれます。

社内監査役とはその会社の役員や従業員だった人が、監査役に就任するケースです。

一方で、社外監査役とは、文字通り社外から迎え入れる監査役です。

一般的に常勤監査役が社内監査役、非常勤監査役が社外監査役となる傾向にあります。

実体として会社が費用(報酬)を支払って雇う形なる為、会社への厳しい追及がしにくくあまり機能していないこともあります。

◇報酬制度

日本の株式会社の報酬制度はほとんどの場合、業界・業種で決まることが多く、従業員の能力で大きく報酬が変わることは稀です。

そのため、会社選びの際は、どういった生活を想定して、どの程度の待遇が欲しいかを決め、その条件に合った業界・業種から会社を選ぶといった順序で見ていくことが必要になります。

また、外資系企業ではストックオプションという株式を報酬とする制度を儲けいている会社もあります。

ストックオプションとは、株式会社の従業員や取締役が、自社株をあらかじめ定められた価格で取得できる権利です。

会社が従業員や取締役に対して、あらかじめ定められた金額(権利行使価格)で、会社の株式を取得できる権利を付与します。

従業員や取締役は、将来、株価が上昇した時点でストックオプションの権利を行使します。

その時点で、会社の株式を権利行使価格で取得し、その後、時価で株式を売却することになります。

権利行使価格と株価上昇分の価格との差が、利益として得られるという報酬制度です。

例:1株100円で10,000株購入できる権利を受け、1株500円のタイミングで購入・売却を行った場合、400万円の利益がもらえる。

そのため、従業員や取締役への報酬額が、その会社の株価上昇と連動し、業績向上したときの、実質上のインセンティブにもなります。

このストックオプションは、アメリカで始まった制度で、日本では、1997年5月の改正商法において、ストックオプション制度が認定されました。

日本ではIT系のベンチャー企業で採用されている場合が多いです。

有名な外資系企業で言うと、スターバックスなどが採用していて、アルバイトでも利用できます。

ストックオプションのメリットはリスクがないことです。

万が一株価が下落したら、そのときは権利を行使しなければ損失はなく、通常の株式投資と比べてリスクがありません。

また、ストックオプションは税制の適格条件をクリアした場合は、非課税で受け取ることができる場合があります。

◇労働基準法のポイント

労働基準法では、従業員の労働時間は、1週間40時間・1日8時間以内(休憩時間は除きます)に制限されています。

そして、従業員が、この時間を超えて働いた場合には、会社は通常の賃金の1.25倍以上の割増賃金を残業代として支払わなければなりません。

また、労働時間が6時間を超える場合は45分以上の休憩を、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。

ただし、「管理監督者」に対しては残業手当や休日出勤手当を支払わなくても良い、と労働基準法は定めています(ただし、深夜勤務手当は支払う必要があります)。

どうして管理監督者には残業手当や休日出勤手当てを支払わなくていいかというと、管理監督者というのは、自分の職場での時間管理について裁量権を与えられているし、経済的にもそれなりの待遇を受けているので、法律によって労働条件を定めてまであえて保護する必要はないと考えられているからです。

では、課長は管理監督者と言えるのでしょうか?

課長のような、いわゆる「中間管理職」については、管理監督者と言えるのかどうかは微妙になってきます。

一般に、管理監督者とは、

・労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的立場にあるかどうか
・名称にとらわれず、実質的に管理監督者としての権限と地位を与えられているかどうか
・出社退社等の労働時間について厳格な制限を受けていないかどうか
・地位にふさわしい賃金面での待遇がなされているかどうか

などの点を総合的に判断して決められます。

ですから、課長という役職名がついているからといって、一律に残業代が出なくなってしまうわけではないのです。

つまり、課長であっても、上記のポイントを総合的に考慮した結果、管理監督者ではないと判断される可能性があるのです。

これは、就業規則に「課長以上は残業代が出ない」と書いてあっても同じことです。

その他、労働基準法によって様々な労働者の権利が保証されているため、労働条件で違和感や疑問を感じた場合は自身で調べて、録音や電子記録などの対策を講じましょう。

また、労働基準監督署という、労基法を遵守しているか監督する第三者機関がそれぞれのエリアごとに存在します。

企業側はこの労基署の是正勧告や相談件数に応じて記録に残され、場合によっては公表されるのをコンプライアンスリスクとして捉えていることが多いため、自身で対応しきれない場合は相談してみるのも手です。

ただし、企業側の違反の記録(残業であれば残業時間が分かるタイムカードの記録やPCの時間のキャプチャ、録音など)がない場合、対応が難しい場合もあるので証拠となる記録やデータは保有しておくようにしましょう。

こういった証拠となるデータは退職後に不払いの残業代などを申請する際にも重要になるので、極力保管しておくといいでしょう。

もちろん、企業側のコンプライアンスではなく、自分に落ち度がないか、自身の対応で改善できないか考慮したうえで建設的に行動することを心がけましょう。

◇まとめ

・会社には4種類あるが、日本の会社の大部分は株式会社
・株式という制度によって、経営者と所有者が分かれる場合があり、経営陣が様々な要素を意識して運営することになる
・労働基準法を把握し、守られていない場合は労働基準監督署を利用する方法もある

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